音楽が重要な役割をもっている
小説、演奏家の著作や
ピアノ学習に役立つ本などを紹介していきます。
音楽小説
◎須賀しのぶ著『革命前夜』
音楽×スパイ×恋愛!?
東西冷戦時の東ドイツが舞台の
エンターテイメント!
あらすじ
昭和が終わりを告げた年、眞山柊史(マヤマシュウジ)は、念願だった東ドイツの音楽大学ピアノ科に留学する。傍若無人な学友や、粗悪な生活環境に困惑するも、美しい「銀の音」をもつオルガン奏者、クリスタに出会い、彼女に強く惹かれていく。
そんな折、ある出来事がきっかけで、シュタージ(東ドイツの秘密警察機関)の監視下におかれてしまう・・・
主な登場人物
眞山柊史(マヤマシュウジ)
ドレスデンの音楽大学に留学した
日本人。優しく、穏やかに見えて、強制されると反発し、一歩もひかない頑固さを持つ。バッハへの思い入れが深い。
ラカトシュ・ヴェンツェル
ヴァイオリン科。ハンガリーからの留学生。天才肌だが、攻撃的な性格で容赦がない。
イェンツ・シュトライヒ
兵役を4年務めてから音大へ入学した。ヴァイオリン科。ヴェンツェルと並び称される実力の持ち主。
容姿端麗、頭脳明晰、性格もよいと非の打ち所がない。シュウジのよき理解者で信頼する友人となる。
クリスタ・テートゲス
旧宮廷教会でオルガンを弾いていた美しい女性。シュウジはその音に、そして彼女自身に強く惹かれていく。
ここが押しポイント!
①登場人物が魅力的!
先に紹介した他にも個性的な面々が登場。シュウジの振り回されっぷりときたら~。でも、シュウジもなかなかに負けてない。
物語の進行とともに、彼らの関係性は変化していく。クリスタとの恋の行方も気になるところ♪
(^^アニメ化されたら、二次創作で盛り上がりそう♪
②バッハの聖地巡礼&名曲と出会える!
ドレスデン、ライプツィヒ、、、バッハを敬愛するシュウジと一緒に、バッハにゆかりのある地へGO!
(^_-)-☆バッハ好きにはたまりません~。
登場するバッハの曲
- 平均律4番嬰ハ短調 BWV849
- 《神の時こそ、いと良き時》BWV106
- 《深き淵より、我、汝に呼ばわる》BWV686
- マタイ受難曲
うさぎの☆超☆個人的な感想
東ドイツの内情にびっくり!こんなことになっていたとは(((・・;)
そして、「この作者、音大留学経験者?」と思うほど、描写がリアル!登場人物それぞれの音が書き分けられているのもすごい!
読んだ後、うさぎも「私の音は文字にすると、どういう音だろう?」と思いながらピアノに向かうようになりました☆
タイトルや時代背景に反して、内容は決して暗くない!
東ドイツの特殊な社会で、出身や、立場から、複雑さを抱える登場人物たち。でも、音楽を美しいと感じる気持ち、より理想の音楽を求める気持ちは等しく純粋で。それによって、絡まってしまう関係もあるけれど、輝く希望になることもある。やっぱり、音楽っていいなあ。
読み終えると、温かい感動に包まれる。音楽好きな人も、そうでもない人にも、是非手に取ってもらいたい作品。